
この記事では、以下の疑問を持った方を対象に、ElasticIPを理解し作成できるようになることを目標としています。
ポイント
- ElasticIPの設定方法が分からない。
- ElasticIPが何か分からない。
- IPアドレスの固定化の意味が良く分からない。
- そもそもIPアドレスが分からない。
目次
そもそもIPアドレスとは
IPアドレスとは簡単に言うとインターネット上の住所です。
インターネット上で特定のwebサイトなどにアクセスする場合は、必ずこのIPアドレスを頼りに場所を特定しています。
普段私たちはこのIPアドレスを意識してwebページにアクセスすることはありませんね。それはDNSというIPアドレスとドメイン名(〇〇〇.comなど)を結びつける機能が存在するからです。普段目にする「〇〇〇.com」というURLの裏には必ずこのIPアドレスが存在しています。
みなさんがこのページにたどり着けたのも、IPアドレスが存在するおかげです。
ちなみにDNSでドメイン名とIPアドレスを紐づける方法については、以下の記事で紹介しています。
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【Route53】AWSでドメイン名を固定IPアドレスと紐づける
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ここまでで、IPアドレスが何かは分かっていただけたかと思います。

ElasticIPとは
ElasticIP(イラスティックアイピー)とはAWSが提供しているサービスの一つです。略してEIP(イーアイピー)と呼んだりもします。
AWS公式ではElastic IPアドレスについて以下のように説明されています。
Elastic IP アドレスは、動的なクラウドコンピューティングのために設計された静的 IPv4 アドレスです。

「動的アドレス」と「静的アドレス」とは
この「動的」とか「静的」という言葉は、何ともイメージし辛いふわっとしたイメージですね。
この場合「値が変動するかどうか」を「動的」、「静的」と言っています。
例えば当たり前の話ですが、自分の下の名前は基本的に生まれてからずっと変わらないですよね。これは「静的な名前」と言います。
反対に、出世魚と呼ばれるブリの呼び方は成長によって「ワカシ」になったり「イナダ」になったりします。つまり名前が変動していますね。これを「動的な名前」と言います。
AWSでEC2インスタンスを作成するとデフォルトではグローバルIPアドレスというものが設定されており、再起動する度にアドレスが変わります。つまり「動的」です。
ElasticIPで静的なアドレスを取得してEC2インスタンスに割り当てることで、EC2インスタンスのアドレスを固定にすることができるんですね!
ちなみにAWS上では「IPv4」と書かれていますが、「v4」とは「IPアドレス」の規格になります。IPアドレスの方がより大きな概念で分かりやすいと思うので、この記事では以降「IPアドレス」と置き換えて説明しますね。
ElasticIPは有料?料金はいくらか
ElasticIPは稼働しているEC2インスタンスに割り当てている限り無料で使用できます。
つまり例えばブログ用にEC2インスタンスを作成し、ElasticIPを割り当てた後もずっと稼働させる場合料金は一切発生しません。
基本的な使い方をして料金が発生してしまうのは以下の2パターンです。
ポイント
- 停止しているEC2インスタンスにElasticIPを付けている。
- ElasticIPアドレスがEC2インスタンスに付いていない。
どちらもサーバを使わなくなった時に発生し得ることです。私も使わなくなったEC2インスタンスを削除してElasticIPを放置してしまい、料金が発生してしまったことが以前ありました。
ちなみに放置していると1時間当たり$0.005料金が発生するため、1か月で$3.6ほど。それほど。それほど高額ではありませんが、使用後は削除しておきましょう。
Elastic IPの作成・設定手順
それでは実際にElasticIPを作成し、EC2インスタンスに関連付ける手順を解説していきます。
AWSへログイン
AWSにログインした状態から始めます。まずは最近アクセスしたサービスから「EC2」を選択してください。ここに「EC2」がない方は上の検索バーからも探すことができます。

次に左側の縦に並んでいるメニューを下に移動していくと、「Elastic IP」という文字列があるはずなので、そちらを押してください。

下のような画面に遷移します。私のは既に一個できてしまっていますが、初めての場合は何もありません。この画面からElastic IPアドレスを作っていきます。右上のオレンジの「Elastic IP アドレスの割り当て」を押してください。

Elastic IPアドレスの設定
以下の画面に遷移します。こちらはすべてデフォルトの設定のまま下へスクロールしてください。
「Acceleratorの作成」などより高度な設定にするオプションもあるようですが、個人でワードプレス運営をする場合にスルーで問題ないと思います。

同じページの下の方に「新規タグを追加」というボタンがありうます。こちらは分かりやすくするためにElastic IPに名前を付けられる機能です。
こちらはつけたところでパフォーマンスには全く影響しないのですが、識別のために名前を付けたりしています。

例えば、キーに「Name」、値に「Test」と入力して「割り当て」を押すと、管理画面では以下のように表示されます。使い勝手を把握するためにもみなさんもタグを入力して「割り当て」を押してみましょう。この値は下の画像の「Test」の真右をクリックするだけで簡単に変えられます。

これでElastic IPアドレスの取得が完了しました!自分だけのインターネット上の住所ができたことになります。しかし、この時点では住所の値を持っているだけで、実際のサーバ(EC2インスタンス)と関連付けがされていません。次のステップで関連付けを行います。
Elastic IPアドレスの関連付け
いよいよ取得したElastic IPアドレスをEC2インスタンスに関連付けを行います。冒頭にも書きましたが、この先はEC2インスタンス作成済でないとできません。
Elastic IPアドレスの作成が完了した後の画面から画像の3つのステップでクリックしてください。
- 取得したElastic IPアドレスにチェックをつける
- 「アクション」選択
- 「Elastic IPアドレスの関連付け」選択

赤枠の「インスタンス」の項目で関連付けたいEC2インスタンスを指定し、「プライベートIPアドレス」と書かれた欄にそのインスタンスのプライベートIPアドレスを入力します。
ポイント
どちらの赤枠もクリックすると候補が表示されます。インスタンスを一つしか作っていない人は、候補に出てきたものを選択すれば間違いないです。

一番下の「このElasticIPアドレスの再関連付けを許可する」は、既にEC2インスタンスに関連付けされているElastic IPを別のEC2インスタンスと関連付ける時に選択するものなので、今回はスルーでOKです!
自動でElastic IPアドレスの管理画面に戻り、「Elastic IPアドレスが正常に関連付けられました。」と表示されていれば作業は完了です!私はタグで「Name」が「Test」というElastic IPアドレスを作成しました。
念のためインスタンスも確認してみましょう!左側のメニューから「インスタンス」を選択してください。

関連付けたEC2インスタンスの赤枠「パブリックIPv4アドレス」を確認すると、先ほど作成したElastic IPアドレスと同じNameまたは値が確認できるはずです。

お疲れ様です!
今回の記事ではElastic IPアドレスをEC2インスタンスに関連付け、IPアドレスを固定する方法を紹介しました。これでIPアドレスを教えれば必ず自分のブログにアクセスできるようになりますね。
しかし、できればIPアドレスがそのまま表示されるのではなく、「〇〇.com」みたいなドメイン名を持ちたいですよね。
以下の記事ではElastic IPアドレスにドメイン名を関連付ける手順を紹介しているので、ぜひこちらも挑戦してみてください!
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ありがとうございました。
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