
この記事では以下のような方を対象に、WordPressブログを最適な方法で選べるようにするためにAWSでWordPressブログを開設する方法を紹介します。
目次
AWSとは
まずAWSとは一体何なのかについて説明します。AWSとはAmazonが提供するクラウドコンピューティングサービスです。

クラウドって良く聞きますがなかなか理解が難しいですよね。
要は本来サーバやデータベースを自分で持ちたい場合そのコンピュータを購入する必要があるわけですが、物理的に所持しなくてもAWSが使いたい分だけ貸してあげるよ。という従量課金制のサービスです。
ユーザは必要なサービスを必要な分だけ利用でき、いつでも簡単に辞められます。
AWSでWordPressブログを開設する難易度は高い

WordPressブログを運営している方の大半はXServerなどのレンタルサーバを利用しているかと思います。レンタルサーバでWordPressブログを運営するのと何が違うのかというのは気になるところですよね。
すごく簡単に言うと、自分が管理する範囲をブログのみにするか、それともブログが稼働するサーバも含めるかという違いです。

例えるならあなたが野菜を作りたいとして、用意された畑で作るか、それとも畑から自分で作るかのような違いです。
レンタルサーバーでは実績のある畑が用意されていますが、AWSではじめる場合は自分で肥料を選んでちゃんと野菜が育つ環境を用意しないといけないのです。開設した後も害虫に食われないようにと多少なりとも気を配る必要があります。
ポイント
AWSでWordPressブログを作る場合、自分で環境を構築し、管理する必要がある。
AWSでWordPressブログを開設する手順

まずは全体の流れを説明します。WordPressブログを動かすために必要なAWSの設定を大きく3つに分けてみました。
1.WordPressサーバの構築(難易度低)
- AWSアカウントの取得
- EC2インスタンスでサーバの開設
- TeraTermのインストール
- ワードプレスのパスワード確認
2.ドメイン名でアクセスできるようにする(難易度中)
- ElasticIPでIPアドレスを固定化する
- Route53でドメインの取得
- Route53でドメインとElasticIPを関連付ける
3.常時SSL化設定(難易度高)
- Certificate ManagerでSSL証明書の取得
- ロードバランサーの作成
- ドメインとロードバランサーを関連付ける
- http通信をhttps通信にリダイレクト設定する
それぞれの項目について詳しく説明していきます。
WordPressサーバの構築
まずは3つに分けたうちの1段階目、「WordPressサーバの構築」について解説します。この工程ではWordPressブログの画面を表示するために最低限必要な設定を行います。
この工程が終わるとIPアドレスを指定してブログをウェブ上で表示させることができ、実際にブログを投稿することも可能です。
このタイミングでWordPressブログ自体の初期設定をしてしまうと、初期のIPアドレスが登録されてしまい、後々多少面倒くさいです。管理画面にログインしてみたくなりますが、最後まで一気に設定を行うことをおすすめします。
①AWSアカウントの取得(約15分)
まずはじめにAWSアカウントの取得を行います。有料サービスを使うかどうかに限らずクレジットカードの登録が必要になります。以下の手順に沿って行えば特段難しい設定はありません。
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【AWS認定試験】S3の出題範囲が広く難しいのでまとめてみた
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②EC2インスタンスでサーバの開設(約20分)
AWSのEC2というサービスを使って実際にWordPressブログが稼働するサーバ環境を立ち上げます。設定しないといけない項目も多少ありますが、WordPress専用のサーバがあるので驚くほど簡単に作成することができます。
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AWSでワードプレスブログを立ち上げる方法
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③TeraTermのインストール(約15分)
続いてTeraTermというソフトをインストールします。このソフトはサーバへ接続して操作を行う時に使用します。WordPressブログを運営しているとサーバに設定が必要なことも多々あるので、ダウンロードは必須です。
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【初心者向け】TeraTermのダウンロード方法。画像付きで解説
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④ワードプレスのパスワード確認(約10分)
AWSでワードプレスブログを立ち上げると、サーバの構築と同時にWordPressのインストールも行ってくれるため、初回パスワードが勝手に設定されます。後からファイル上で確認することももちろん可能ですが、一度サーバを停止してしまうとログからは消えてしまうので、このタイミングで確認しておくのが一番楽です。
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【AWSでワードプレス開設】管理者画面にログインする
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ここに注意
この記事ではログインまでを解説していますが、このタイミングではメモだけしておき、工程3完了後にログインすることを推奨します。
ドメイン名でアクセスできるようにする
続いて構築したサーバにドメイン名でアクセスできるようにします。ドメイン名とは「~.com」などのいわゆるURLになります。ドメインを取得すると基本的に以降年単位で料金が発生し、ドメインにもよりますが12ドル程度で取得できます。
1.ElasticIPでIPアドレスを固定化する(約15分)
ドメインの取得の前にElasticIPというサービスを使用して、IPアドレスを固定化します。IPアドレスとはブラウザからサーバへアクセスするための住所にあたるものですが、設定を行わないとサーバを起動する度にIPアドレスが変動する使用になっているため設定が必要です。
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【ElasticIP】解説・手順・料金まとめ。そもそもIPアドレスとは?
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2.Route53でドメインの取得(約15分)
続いてドメインの取得を行います。ブログのURLにしたいドメイン名をここで決めます。
後で変えることはできないので、慎重に決めましょう!
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【初心者向け】AWSでドメイン名を取得する方法!Route53使用
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3.ドメインとElasticIPを関連付ける(約15分)
一つ前の工程ではドメイン名を取得しただけなので、実際にドメイン名でブログにアクセスできるように、ドメイン名とElasticIPの関連付けを行います。この作業が完了するとドメイン名でブログにアクセスできるようになります。
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【Route53】AWSでドメイン名を固定IPアドレスと紐づける
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常時SSL化設定
ドメイン名でブログにアクセスできるようになり、形としてはほとんど完成なのですが、あと一つだけやっておきたいことがあります。
ブログの常時SSL化です。常時SSL化とはブログの通信を安全なhttps通信にすることで、Googleも常時SSL化を推奨しています。
今いちどんなメリットがあるのか分からない方も多いかと思いますが、前提としてSSL化していない通信は通信時にデータを読み取られたりするリスクがある。と考えておくと良いと思います。
また作業自体物凄く難しいわけではないのですが、序盤に比べ使っている要素が多いので、それだけ前半に比べ難易度が上がります。
1.Certificate ManagerでSSL証明書の取得(15分)
SSL通信化に向けてまず一つ目にすべきことはSSL証明書の取得です。
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【AWS解説】SSL証明書を取得してブログをhttps通信化する方法
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SSL証明書とは簡単に言うと通信先になるサーバが存在していることの証明で、通信するためのデータを暗号化するための鍵が含まれています。

2.ロードバランサーの作成(20分)
次にロードバランサーの作成を行います。ロードバランサーとは負荷分散装置の事で、設置することで、今までEC2インスタンスにブラウザから直接アクセスしていたところ、ロードバランサー経由でEC2インスタンスにアクセスするようになります。
本来負荷分散装置なので、例えばサーバを二つ用意して、大量のアクセスがあった場合に一つのサーバにアクセスが集中してダウンしないように分散する目的で使用します。
今回サーバは一つしか使用しませんが、ロードバランサーでSSL通信を受け止めるような設定にすることで、EC2インスタンスへの負荷を減らすことができます。
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【AWS手順解説】ロードバランサー作成とドメインの設定
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3.ドメインとロードバランサーを紐づける(15分)
続いて一つ前の工程で作成したロードバランサーにドメインを紐づけます。私の紹介する記事では一度ドメインとIPアドレスを紐づけてしまっているので、一度ドメインとElasticIPの紐づけを解除して間にロードバランサーを入れるようなイメージです。
「2」の記事で解説しています。
4.http通信をhttps通信にリダイレクト設定する(15分)
最後にhttp通信をhttps通信にリダイレクトする設定をします。どういうことかというと、httpを指定してブログにアクセスした場合も自動でhttps通信に変えてくれるような設定です。一つ前の工程ではあくまでhttps通信でブログにアクセスできるようになっただけで、http通信でもアクセス可能な状態になります。
別にhttpsでアクセスできるならhttpを残しておいても良いのでは?と思うかもしれませんが、httpsとhttp二つでアクセスできる状態は同じサイトが二つあるとGoogleからは評価されてしまいます。
SEOにも悪影響があるので、httpsへのリダイレクト設定をしておくことが賢明です。
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【AWS画像付き解説】HTTPリクエストをHTTPSにリダイレクトする方法
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それ以外に設定が必要なこと
上記で紹介した設定を全て行うと、ドメイン名でかつ常時SSL通信でアクセスできるようになります。
どのタイミングでも良いのですが、初期状態ではWordPressのブログページに勝手にアイコンが表示されます。一般公開前に以下の手順でアイコンの削除が必要です。
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「Bitnami」のロゴを消す方法【AWSでワードプレス開設】
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まとめ
当記事ではAWSでWordPressブログのサーバを立ち上げ、常時SSL通信化するまでを紹介しました。
最後に一つお伝えしたいことがあります。
それは予期しない問題が発生しても、それを乗り越えることも含めて環境構築だと思って欲しいということです。
私は当ブログで一人でも多くの人に初心者にとって理解が難しいサーバ周りの知識を、AWSで環境構築しながら学んで欲しいと考えこの記事を作成しました。
出来る限り困惑する表現がないよう、今後も修正を行っていきます。しかし分からないと感じる部分もあるかもしれません。
そして絶対にどこかで記事通りの結果が得られないことがあるというのは把握しておいてください。これはある程度経験がある人でもなり得ることで、どうしても意図しない問題が発生します。
そんな時は必ずどこかがおかしい。修正すれば期待通りの結果になるという思いを持って諦めずに何がおかしいのか調べてみてください。検索すれば大抵のことは解決できます。
また私もできる限り発生し得るトラブルについては紹介記事を書きたいと思います。
不明点がある方はコメントしていただけますと幸いです。
実際のところ、レンタルサーバーでWordPressを始めたほうがずっと楽です。それぞれのメリット等については以下の記事に書いているので参考にしてみてください。
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【比較体験談】AWSとレンタルサーバーWordPress開設時のメリットデメリットまとめ
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逆に苦労してもサーバ構築に挑戦したいという根気のある方はぜひ、この記事を参考にチャレンジしてみてください。
ありがとうございました。